酸素中毒について

春とは名ばかりの厳しい寒さが続いています。皆さんお元気ですか。

今回は酸素中毒についてまとめてみました。

 

 現在日本では、潜水作業の酸素分圧の上限を1.6ATA(空気潜水で約70mに相当)と規定されている。安全を考えれば通常で1.2~1.4ATAに保つ必要があると思われる。1日当たりの酸素暴露量(CPTD)600、1週間当たりの酸素暴露量(UPTD)2500と規定されているからだ。


 酸素中毒には主に脳と肺の症状がある。高分圧、高濃度の酸素吸引により活性酸素が形成されやすく、様々な細胞内器官が障害を受ける。酸化ストレスを引き起こすことが要因と考えられている。 

                                  
 急性(中枢神経型)酸素中毒は、酸素分圧と暴露時間が影響することが知られている。また、個人差や体調などの身体的な要因も発症に大きく関連するといわれている。様々な要因があるが水中であれば、酸素分圧が1.3ATAを超えたとき症状が現れる可能性があると考えられている。前兆として唇のぴくつきが現れることがあり、痙攣、意識の喪失、硬直の発作などの症状がある。水中で発症すると溺死の原因になる。


 慢性(肺型)酸素中毒は、通常、酸素分圧が1ATAを超えるガスを長時間にわたり摂取し続けた場合発症する可能性があると考えられる。(空気を使った潜水をした場合、酸素分圧が1ATAを超える水深は約40m。)胸痛、咳、吐き気、呼吸困難などの症状があるが深度を上げれば元に戻る。致命的になることはないと思われる。しかし、水中でこのような症状が起こり、急激に浮上するとエアエンボリズムや溺れの危険性があり、その他にも、視力の低下や一部の網膜剥離を招いてしまうこともある。慢性酸素中毒に罹った場合、暫くの間潜水することをやめなければならない。

 

平川


2017年01月31日